
府中市美術館で開催中の「フジタからはじまる猫の絵画史—藤田嗣治と洋画家たちの猫—」展に行ってきました。
楽しみにしていたこの企画展。看板に採用されている絵はフジタの《猫の教室》ですが、この春行った軽井沢安東美術館ですごく好きになった絵だったので、またじっくりと観ることができてとても嬉しかったです。


藤田嗣治が猫の絵を多く描いたことは有名ですが、本企画展では藤田嗣治や多くの洋画家たちの描いた猫をたくさん見ることができました。
狩野派の虎、円山応挙の犬、伊藤若冲の鶏、等々、日本では動物が主役の絵は昔からありましたが、西洋では長らく「絵画の主役は人間であり動物を描いただけの絵は芸術とは言えない」という芸術観があったこと、また、動物が描かれる場合は聖書などの物語中の脇役として、あるいは作品中で象徴的な意味を持つという約束事があったことから、20世紀に入っても、西洋絵画では「猫」が主役の絵は積極的に描かれなかったそうです。さらに、猫にはペットとして愛されるような可愛らしい面と野性的で獰猛な面の双方がありますが、西洋絵画では野性的な側面に焦点を当てた主題が好まれたそうです。そんな中、フジタは西洋と日本の狭間で、意欲的に西洋絵画の伝統と向かい合い、戦略的に日本画の伝統を用いて、猫の絵を描き続け、続く日本の洋画家たちに影響を与えたことが展示を介して紹介されていました。
先に挙げた擬人化されて描かれた《猫の教室》がやはり私の一番のお気に入りですが、人間の食べ物を狙う猫が描かれた《ディナー・パーティー》という作品にも心惹かれました。西洋的な主題(野性的な動物の姿)で猫を描いているのですが、窓からキッチンの食べ物を虎視眈々と狙う猫はご馳走を前にテンションが上がっているのがまるわかりの愛嬌ある表情で、隣の窓からちょこっと見える猫の尻尾も憎めなく…この後、略奪は成功したのか…それとも見つかって怒られたのか…、絵に描かれたシーンの後まで猫のことが気になりました。
後半の洋画家たちの猫の絵も素晴らしく、朝倉文夫の猫の彫刻まであり、とても贅沢な展覧会でした。

企画展を見た後は、ミュージアムカフェへ。

フジタの猫のティーセットを注文。

フジタの猫ブレンドティーとキャラメルバナナタルト。


ティーに浮かぶ山査子が猫の目を表現。ハーブとほうじ茶、フジタの絵のごとく和と洋のブレンドティー。美味しかったです!

カップの下のコースターも今回の展覧会のテーマに合わせて猫ちゃん!

上の写真は、展示会場の入り口。三毛猫の模様があちこちで共有されていて楽しかったです。(撮影可の場所のみ写しています)

ヤブランの咲いている公園を少しだけ散歩して帰りました。

「フジタからはじまる猫の絵画史—藤田嗣治と洋画家たちの猫—」展は12月7日まで府中市美術館で開催されていますので、良かったら是非お出かけください。
早いもので本日で9月も終わりです。今月も和田尚子の漫画をお読みくださった皆様、本ブログにお越しくださった皆様、ありがとうございました!
(参考資料 『フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫』府中市美術館 編・著 筑摩書房 2025年)









































