ノーマン・ロックウェルの絵を見ると、
何故か、オールドファッションのドーナッツを食べたくなる。
私の中の、ノーマン・ロックウェルは、
いつも、ほんのり甘い、手作りドーナッツの味。
古き佳き時代の理想的なアメリカを描く彼の絵は
合衆国市民のハートをつかむと共に、
現実には存在しない理想主義のアメリカと、
批評されたこともあるらしい。
事実、切り取られた風景の数々は、
彼の演出で再現され、
モデルがポーズを取った、虚構の場面。
でも、
『人間は、見たことも無いものは描けない。』
そう言ってたのはどこかの学者だったかな・・・。
例えば、お化けにしろ、何にしろ、
空想の産物はいつも現実にある何かに似ているそう。
人間の想像には、限界があるそうな・・・。
と、言うより、現実はいつも想像を超えているのかな?
ノーマン・ロックウェルはどんな目で
アメリカを見てたんだろう。
そしてどんな心で、見てきた数々のシーンを
切り取って、カンバスに再現したんだろう。
描かれているのは、確かに彼が見た物。
『オールディーズ』なのは、
「彼の絵」ではなく
「彼の心」?
・・・いや、
彼の絵に惹かれる人々には
今も全てがリアルなのだと思うけど。
晩年の彼の絵はもっと鋭くシビアになっていった。
どちらの彼の絵も私は好き。
美術館を出て一巡り、美術館のある公園をお散歩。
見慣れた、カフェの看板が、
『オールディーズ』に見えるのは、
私がロックウェルの魔法にかかったからかしら?