もうすぐ、2008年も終わり。
皆様、本年もどうもありがとうございました。

原稿に追われつつ、この一年を振り返っております。

昨年の今頃は、「チ・カ・ラ」 連載開始の為に、
明治、大正時代の日本史を猛勉強していました。
懐かしい(笑)。

今年の締めくくりに、なんとなく見たテレビの感想を・・・。

一昨日(28日)、テレビ東京の
『久米宏の経済SP新ニッポン人現る!2』を見ました。
現代の女性達を紹介していました。

キャリアを目指して、気が付くと独身だったアラフォー世代と

まだまだ若いのに、結婚相談所等で、
婚活に励む早婚願望の20代前半の女性達。

二つの異なった結婚観を持つ女性達をその育った時代背景まで
掘り下げていて興味深かったです。

私は、もちろん、20代前半世代・・・な訳が無く(笑)
アラフォー世代になるのかな〜?

それほど、キャリア思考があったわけではなく、
中途半端なアラフォーの私ですが、早婚願望も特に無かった。
(結果は別として)

アラフォー世代(近辺)の私が、小学生の頃夢中で読んだのは少女マンガ。
『りぼん』を読んでデザイナーのような華やかな職業に憧れ、
『別マ』を読んで、等身大の恋愛を学び、
主人公が悩みながら大人への階段を登っていく姿と共に成長し、
友達に借りたコミックスで、
フランス革命に身を投じる、男性以上に決断力のある男装の麗人に憧れ、
大和撫子とは程遠い、袴姿のやんちゃなハイカラさんに共感し・・・。

女性が若い頃から自由に恋をし、仕事を持ち、
女性という枠にとらわれること無く、
男性と同じように社会でも活躍できると、
それらの少女マンガを読んで育った私は信じていました。

その思いは私自身の中では、殆ど変化が無いのですが・・。

アラフォー世代の自信が揺らぎ始めたとマスコミが
報道するようになったのは、数年前ぐらいからでしょうか?

漫画家という職業の私にはちょっとピンと来ないのですが、
「男女雇用機会均等法」ができて、20年余りの時が流れた今も、
女性の管理職の割合は少ないらしく、女性のキャリアの夢はまだ
完全には実現していないと、番組では言っていました。

夢が実現する社会であって欲しいと思います。
この不況で、雇用状況そのものが、暗い時代ではあるとは思いますが・・。

さて、話は、昨年の今頃、「明治、大正時代」を猛勉強していた頃に
戻ります。

私が「チ・カ・ラ」を描こうと思ったきっかけは、
(コミックス「チ・カ・ラ」①のあとがきにも描きましたが)
担当さんから『時代物』というお題を頂いて、

ならば、

「私にとってもっとも身近な祖父、祖母の青春時代を描こう。」
「私の好きな明治・大正時代の建物が出てくる話がいいな〜。」

という、凄く単純なものだったのですが、
勉強していくうちに、近代の女性達の原型は大正時代に生まれたんだな〜。と
漠然と感じたのも、「大正時代」を描きたいと思った理由の一つです。

大正時代の結婚の殆どは親の決めたもので、
お見合いすらしない場合も多かったそうですが
そんな中で、「自由恋愛」「自由結婚」と言う言葉に憧れ、
結婚に対する意識が大きく変わった時代。
もちろん、まだまだ「自由恋愛」「自由結婚」の割合はかなり低いのですが・・・。

女性が職業を持ち社会に進出するようになったのも大正時代。
(まだ、男性より賃金は低く、職種も限られていましたが)

そして、「サラリーマン」という新しい仕事の形態が増え、
都市近郊に住むサラリーマン世帯を中心に、核家族、
暮らしの近代化が進み現在の家庭の原型が誕生。
今の専業主婦に近い暮らしをする女性が生まれた時代でした。

「キャリアに生きるか、早婚をして家庭に入るか」・・・。
それは、そのまま、大正時代の最先端を生きる女性の
迷いだったように感じています。

『久米宏の経済SP新ニッポン人現る!2』では、
小池百合子さんが、「キャリアか結婚か、二者択一ではなく、
どちらも選べたら良い」と言ってました。
観客の女性達も頷いていたけれど、
「どっちか」も「どっちも」も選べるといいですね。

揺れる平成の乙女達。
揺れる大正の乙女達。
大正の乙女たちがどんな未来を切り開いてきたのか、
平成の乙女たちがどんな未来を切り開いていくのか・・・。
今、とても興味があります。

大正と平成を行ったり来たりしながら、
いろいろ、考えたりしちゃう私ですが、
読者の方には、ただ、物語として、漫画として
「チ・カ・ラ」を楽しんでいただければと思います。

2008年の締めくくりなので、
ちょっと真面目に書いてみました。(笑)。

では、来年もよろしく。
良いお年を!

                     2008.12.30   和田尚子