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近代建築の中で、面白いのは、『擬洋風建築』。

外国人の建築家、
あるいは、日本人でも妻木頼黄や、辰野金吾のように、
正規の西洋建築を学んだ建築家達が
建てた西洋建築とは別に、
日本人の棟梁や職人達が見よう見まねで立てた
洋風建築を『擬洋風建築』と言う。

現存しなくて残念だけど、明治初期に建てられた
『第一国立銀行』の
威勢のよさったら、もう、天晴れな感じ。

『旧中込学校』(明治8年落成)も、『第一国立銀行』より、
規模は小さいけど存在感は凄い。
最も古い擬洋風の学校建築の一つだ。

「西洋建築の建て方なんか知らねーよ。
知らねーけど、俺達にだって、似たようなものは造れらー」

て、言ったかどうか知らないけど、
腕に自信のある棟梁達が、
文明開化の風に乗ってやてきた西洋建築を
見よう見まねで自ら建てていった。

都市の西欧化を進めていた、
政府の指導も万全には届かない
民間や地方の街で。

なので、『擬洋風建築』は、正規の西洋建築とは違って、
和と洋が絶妙に入り混じっている。

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『旧中込学校』の
八角形の塔の天井には、方位図がかかれ、
それぞれの方角に、八方の山の名前が記されている。

そして、山の名前の外側に、東京等、国内の都市の名前。
さらに、その外側には外国の都市の名前が記されている。

子供達は、決して肉眼では見えないけれど、
きっと、見える気がして、塔の上から遥か遠く、
行ってみたい国の方角をワクワクしながら眺めたんだろうな。

都会から離れた村の子供達にも、
文明開化を肌で感じさせ、
この空が世界に繋がっている事を
教えようとした、当時の大人達の心意気を感じる。

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私が行った日は、地元の小学生達が、
先生に連れられて、写生に来ていた。

こんな学校が我が町に残っているなんて誇りだよね。

見に来られてよかった。