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☆【Flower〜フラワー〜】 作品のあらすじ☆

14歳の葵(あおい)は、読者モデルをしている元気な中学生。
夢はいっぱいあるけれど、今のところ、
竜太(りゅうた)、優子(ゆうこ)、光(ひかる)、孝一(こういち)等
仲間と一緒に憧れの南高校に進学するのが一番の夢。

ところがある日、葵は些細な冒険心から大怪我をしてしまう。

南高に進学する夢は断たれたかのように思えたが・・・。

仲間達に支えられて、成長していく葵の
『薔薇色』ではないかも知れないけれど、
『葵色』に咲く青春の物語。

竜太との恋は・・・?

葵の未来は・・・?

マーガレットコミックス「Flower〜フラワー〜」全10巻収録
集英社文庫(コミック版)「Flower〜フラワー〜」全7巻収録

⇒登場人物の紹介と「あとがき」は続きを御覧下さい。

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

       

『Flower〜フラワー〜』は、別冊マーガレット及び、
デラックスマーガレットで2000年3月号〜2006年5月の間に
連載、前後編、あるいは読みきりシリーズで掲載されました。

現在、集英社文庫(コミック版)より全7巻で発売中です。

文庫7巻では「あとがき」を執筆。

文庫をお買い求めいただき、是非、「あとがき」まで読んで下さい!
と、いうのが本音ですが(笑)、

まだ、文庫を買われていない方のために、
「あとがき」を抜粋してご紹介します。

「あとがき」に紹介された、
『FLower〜フラワー〜』の
主人公の名前を決める投票は、
古いコンテンツの一部を、ブログに移行する際に、
閉じてしまったので、残念ながら、
現在のARCHIVES(アーカイブス)には残っていませんが、
ずっと和田尚子のHPにお付き合い下さっている方なら
ご存じだと思います。

懐かしいです。

当時、投票にご協力いただいた皆様、
本当にありがとうございました。

ARCHIVESの「フラワーの部屋」
重ねてお楽しみ下さい。

今回、文庫7巻掲載の「あとがき」を抜粋して、
以下に掲載することにしましたが、
ストーリーの分かるもの(ネタバレ)になりますので、

物語の展開を知りたくない方はこの先は読まないで下さい。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

文庫【Flower〜フラワー〜】のあとがき(抜粋)

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今から10年前、「片道切符シリーズ」
連載終了後の2000年1月、
次回作(別マ新連載)『FLower〜フラワー〜』の
主人公の名前を決める投票を、
当時の和田尚子公式HPで行いました。

「さくら」や「瑠璃」等、「薔薇」以外の
たくさんの花の中から、主人公のイラストを見て
イメージする名前を読者の方に投票してもらい、
名付け親になってもらったのです。

選ばれたのは「葵」。
イラストの主人公の笑顔に
似合う明るい花の名前に決まりました。

中学生編のラストにあるように、主人公の
「”薔薇色”ではないけれど、”葵色”の青春を描く」が
テーマでした。

実は、車椅子の少女が主人公の漫画を、
私が描くのは、『FLower〜フラワー〜』が
初めてではありません。

今から30年程前、初めて、
別冊マーガレットの公募で賞を頂いた作品も
車椅子の少女が主人公でした。

当時、中学生だった私は入院中で、
闘病生活を送っていました。
だから、病気や障がいは私の中で
身近なテーマだったのです。

残念ながら、賞を取った作品は掲載には至らず、
未発表ですが、そのテーマはデビュー後も
私の中で生き続け、時を経て『FLower〜フラワー〜』に
繋がることになります。

そして、最初の受賞から半年後、
続いて、デビューに繋がる賞を頂いた作品は、
原宿が舞台でした。
これは、病気も障がいも出てこない作品で、
原宿の街で青春を謳歌する流行最先端の若者達の物語。

投稿時代の私は原宿が大好きな普通の中学生でもありました。

今、ふり返ると、投稿時代から私は、

「好きな街や風景を描く」
「病気や障がいがあたりまえに存在する」

という、このふたつのテーマを描き続けている気がします。

けれど、そのテーマは私の中では、
別々に存在するのではなく、常に、
このふたつのテーマの融合、つまり、

「好きな街や風景の中に、
病気や障がいの有る人があたりまえに存在する」

と言うことを、たとえ表面に現れていなくとも、
どの作品でもいつも感じながら描いているのです。

今から30年前の投稿当時は、
まだ、ユニバーサルデザインという思想は無く、
バリアフリーという言葉さえ聞き慣れず、
障がいを持った主人公を読者に受け入れてもらうのは
難しい時代でした。

『FLower〜フラワー〜』に至るまでは、時間がかかりました。

チャレンジしては、工夫を重ね、機を見て、
また、チャレンジして描いて、
別マの編集部と共に歩んできました。

『FLower〜フラワー〜』に至るまでの幾つかの作品をご紹介します。まず

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****中略****

 

『FLower〜フラワー〜』を描く事ができた一番の理由は、
社会の変化だと思います。
この30年の間に、街のバリアフリーは進み、
ユニバーサルデザインという思想が生まれ、
社会は様々な個性の人々を受け入れるようになり、
デザイン性の高い車椅子が発売され、
ハンディキャップダイビング、車椅子バスケ、
オフロード車椅子等、スポーツの分野でも活躍する
障がいの有る人が増え、障がい者をめぐる環境は、
かなり変わりました。

介助犬と共に、自立を果たす人々にも出会いました。

私は、その変化を30年間肌で感じながら
作品に描いてきました。

『FLower〜フラワー〜』の中で、
読者の方が、初めて知られた事や、
新しいと思われた事も、
やがては普通の事になると思っています。

押し合いへし合いしながら、理解しあいながら、
未来では今よりもっと、社会と障がいを持つ人々の
融合が進むことを願っています。

『FLower〜フラワー〜』連載中は、
大学生編の前編を執筆中に、
病気で倒れて入院してしまい、
読者の方にご心配をおかけしました。

高校生編のラストで、
葵と竜太の一時的な別離を描いた事に関して、
「何で別れさせるの!」と読者の方から、
たくさんお怒りの手紙が届いている事を
知ったのは退院した後でした。

高校生編を描いた時、既に、
最終回の「婚約式」の構想はあったのですが、
大学生編の掲載が遅くなり、
心配かけてごめんなさい。

葵の為に本気で読者のみなさんが怒ってくれた事を
今では本当にありがたく思っています。

『FLower〜フラワー〜』を描く時、

「私は一漫画家として、葵を一人の人間として、
障がいの有り無しにかかわらず描こう」

と心に誓いました。
その通りにできたと思っています。

『FLower〜フラワー〜』は唯一無二の作品です。
永遠にそうあることを願います。
でも、車椅子の少女が主人公の少女漫画は、
『FLower〜フラワー〜』が唯一無二であることは願いません。
これからも、たくさん、現れて欲しいと思います。

最後に、取材に協力して下さった皆様、
1巻に解説を書いて下さった木村佳友さん、
それから、車椅子や自転車等、
難しいメカの作画を手伝ってくれたアシスタントのみんな、
特に主力だったナバホちゃん、まきさん、ゆりちゃん、
そして、何より、『FLower〜フラワー〜』に至るまで
の道を共に歩いて下さった、
別マの編集部と読者の皆様、どうも有り難うございました。
 
                                 
                                
                                    2010年 2月

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